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2007/04/26

ま、早い話がB級ナメんなってことで。

昨日は稽古休みということで芝居を二本、そして自宅でDVDを一本観た。

まず芝居の一本目はシアターコクーンで『写楽考』
開演五分前に劇場に駆け込むと、マッチャーの指定された座席にチャーミングな小柄の女性がちょこんと座っているではないか。

それは永作博美であった。

かつて共演した『人間風車』という舞台以来、彼女とは親しくさせてもらっているのだが、このところ会っていなかったので実に久方ぶりの再会だ。
まさか足軽時代の豊臣秀吉ばりにマッチャーの席を温めてくれていたとは…。
彼女のうっかりミスとはいえ、なんだかちょっぴり得した気分。

で、終演後、楽屋を尋ねると、長塚君に「ブログ読んでますよ」といきなり告げられ普通に動揺した。
毎日あーだこーだ書いてネットにばっちりアップしているハズなのに、不思議とブログというものを人に読まれている自覚が薄い。
なので、人様に「読んでますよ」とふいに言われると、なんだか「しまった〜」的な気持ちになるのだ。
なにが「しまった〜」なのか、自分でもよく分からないのだけど。
取りあえず、負けじと長塚君のブログを読み返すことを告げ、劇場を後にしたマッチャーなのであった。

二本目はシアタートラムで猫のホテルの『苦労人』
こちらは少々早く三軒茶屋に着いてしまったので、昨年『父帰る/屋上の狂人』をトラムでやった時にしょっちゅう通った、すずらん通り内にある『ヤンヤン』という美味しい中華屋で少し早めの夕食を取った。
で、上海焼きそばと餃子とビールを注文したのだが、少々のつもりがついつい中ビン二本を飲んでしまい、観劇前に結構出来上がってしまったマッチャー。

おかげで芝居の方は大層楽しく観ることが出来たが、こう書いといてさっそく否定するが、酔ってなくても抜群に面白い芝居だったので誤解のないよう。

さて、鑑賞デー大トリはピーター・ジャクソン監督のキング・コング
ずいぶん前に買っておいたDVDなのだが、なにせ本編が三時間もあるのだ。
これまでなんだかんだ忙しかったマッチャーにとって、それはおいそれと手を出すわけにはいかない代物だったのだが、念願かなってようやく観ることが出来た。

で、肝心の内容の方はですね、これが期待値を遥かに超える超ド級の面白さ。
余りの息もつかせない迫力に、見終わった直後、崩れ落ちるように劇場で観れなかったことを激しく後悔したぐらいだ。

いやあ、やっぱりやってくれましたピーター・ジャクソン!
売れ線狙いで取りあえず作ってみました的なリメイク版も数多ある中で、これだけの傑作を作ってくれるとは。
とにかく『キングコング』という作品への並々ならぬ愛情が大炸裂している。
オリジナルストーリーをきちんと周到しつつも、全編に渡って彼らしい狂気とロマンに溢れまくっているのだ。

世間一般にピーター・ジャクソンといえば『キングコング』や『ロード・オブ・ザ・リング』の監督という印象だろう。
だが、ホラーマニアの間で彼の代名詞といえば、断然、ブレインデッド 』だ。
この映画はピーターが九十年代前半に監督した、呆れるほどに、そして笑えるほどにアホほど血しぶき飛び交うB級スプラッタ・ゾンビ映画の大傑作

『B級』ときくとどうしてもチープなものを想像しがちだが、優れたB級映画は俗にいうハリウッド映画を余裕で凌ぐほどの面白さがある。
変態チックなまでの題材に対する愛着や、低予算でそれを絶大な効果で表現していく映像センス、そしてなにより劣悪な環境の中でそんな映画を撮り切る狂おしいまでの情熱がなければ、優れたB級映画を作ることは出来ない。

例えばサム・ライミの『スパイダーマン3』もまもなく公開されるが、彼だってもとをただせばB級ゾンビホラー死霊のはらわたでデビューした監督だ。
しかし、彼がこの大作映画に抜擢され、かつ前二作で最高の映画が撮れたのは、スパイダーマンという題材にずば抜けた愛着を持っていたからだろう。
そしてその愛着を針が振り切れるぐらいスクリーンに映せるのは、かつて彼が世間のしがらみから遠いところで心から愛する映画を思う存分撮りまくっていた経験からくるのだと思う。

優れたB級映画を撮る者は、優れた超A級映画だってモノにできる。

演劇界にもこれは通ずると思うのだが。

じゃ、シーユー。

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