« ま、言ってもほんの一瞬だしね。 | トップページ | エレベーターという名の密室にて。 »

2007/05/28

先輩はやはり先輩だった。

昨日は終演後、大人計画本公演『ドブの輝き』を観に行った。

今回も実に珍しい芝居をやっていて個人的に非常に楽しめた。
松尾さん、宮藤さんの作り出す世界観にはこれまで何度も触れてきているが、そこに集まる劇団員のパーソナリティも含め、ある意味、世界レベルの珍しさと言ってもいいのではないか。
つくづく希有な才能が結集した奇跡のような集団だなあ…と改めて実感。

あ。
ちなみに『珍しい』ってがぜん褒め言葉ね、マッチャーなりの。

しかし、今回体調不良で残念ながら降板を余儀なくされた松尾さんの代役を務めた(池田)成志さんはマジで最高だった。

成志さんが楽しげに舞台上でやっていたあれやこれやは、『松尾さんの代役』という状況下で、ある意味、なかなか出来ることじゃない。
観る側としては多少なりとも成志さんの登場に構えるはずだ。
それをいともあっさり、ああもリラックスしたいい意味でグダグダの雰囲気に持ち込めるのは、もちろん成志さんの俳優としてのスキル、それに伴う観客の信頼度が高いからこそ出来る業だと思うが、それよりなにより、成志さん自身が代役であるという特別な意識を微塵も持ってなさそうに見えるのが素敵。

終演後、以前、下北の焼き鳥屋でバッタリ出くわした成志さんと、カウンターで肩を寄せ合いこんなことを話したのをふと思い出した。

マッチャー「最近、どうしたもんかと思ってることがあって…」
成志さん 「うん」
マッチャー「僕の方は全然そんな気ないのに、この歳になると、最近雑誌の公演紹介とかでベテラン扱いされるんですよ。『脇を固める』的な言い回しとか。すげぇ不本意なんスけど、この流れってどうにか食い止められないですかね?」
成志さん 「大丈夫だよ。俺なんかいまだに『ベテラン』って呼ばれたことないし
マッチャー「ええっ、僕より六つか七つ先輩なのにぃ?!!」
成志さん 「ま、俺、どんな舞台でも、基本的に脇、固めてないから

…固める。
普通、大人の俳優だったら脇を固める意識を否が応にも持つものだ。

だが、成志さんは固めない。
いくつになってもそんな気ゼロ俳優
実にパンクだ。そしてこれまで積み上げてきたその姿勢こそが、舞台に上がる成志さんの大きな魅力になっている。

『若手→中堅→ベテラン』
の安易なレールには決して乗ることなく、
若手若手の皮をかぶった中堅面白いおじさん
という独自路線を突き進む成志さんは、マッチャーにとって理想の演劇人だ。

今回の公演で成志さんが果たした功績はことの他大きい。
あまりに成志さんの出ているシーンが面白いので、ついついなんでもなく見てしまうが、さすがにマッチャーが尊敬する人だけのことはある。
もちろん先輩は『功績』だなんて意識は全く持ってないと思うので、後輩からささやかながらこのブログで称えさせて頂きます。
そしてそんな成志さんを代役に選んだ大人計画さんの判断も同様に称えさせて頂きます。
そしてそして、松尾さん。
一日も早く元気になって現場に戻ってきて下さいませ。

さて、芝居の性質は真逆なれど、刺激を受ける舞台を観ると、なんだかこっちまで頑張ろうという気になる。
では、マッチャーも渋谷でハートウォーミング芝居、今日もはりきってやってきましゅ。

じゃ、シーユー。

|

« ま、言ってもほんの一瞬だしね。 | トップページ | エレベーターという名の密室にて。 »