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2007/07/06

吐き気がするほどロマンチックだぜ。

最近、自分の生い立ちを振り返る取材を立て続けに二本受けた。

いつものように前もって何も考えず、ぶっつけで取材に臨んだマッチャーだが、久方ぶりに自分がどんな子供だったかを根掘り葉掘り質問されているうちに、図らずも胸の奥にしまっておいた禁断の記憶をひも解く結果になってしまった。
ついにマッチャーは、無意識のうちに封印したパンドラの箱を開けてしまったわけだ。

軽い寒気と目眩に襲われるマッチャー…。

箱の中身は、自意識過剰もいいところの小学生時代の記憶。
「ラブレターとかもらったことがありますか?」
そんな何気ないインタビュアーの質問が、マッチャーの心を揺り動かした…。

結論から言えば、ラブレターなる甘酸っぱい手紙を貰ったことなど一度もなかった。
しょせんは田舎の小学生だ。
ラブレターを書くほどおませな女の子自体、周囲に存在しなかったと思うのだが、実はそれは全くの気のせいで、単にマッチャーがモテなかっただけと見るのが正解かも知れない。
では、逆にラブレターを書いたことはないのかというと、そんな真っすぐな方法で思いを寄せる女子にアプローチをするなど、マッチャーにはこっ恥ずかしくて、とてもじゃないが無理だった。

とはいえ、ソフト麺と異性の目が大好物だった幼きマッチャー。

当時から恋愛にはかなり敏感だったわけで、今から思うとホントどうかと思うマッチャー独自の自己演出でもって、子猫ちゃんとの距離を必死に縮めにかかっていた記憶がある。

例えば、可愛いところでこうだ。

まず、早朝一番乗りで教室に乗り込み、黒板に赤いチョークでデカデカと相合い傘を書く。
もちろん名前は、マッチャーとマッチャーが好きな女の子だ。
で、裏道をダッシュで駆け抜け一時帰宅をする。
で、改めてギリギリの時間に何食わぬ顔で登校すると、朝から教室は「ヒューヒュー!」と鼻タレ同級生どもがマッチャー達を冷やかす声。
「あの二人、そうなんだ〜」と教室の隅でヒソヒソ話をする女子もいる。
マッチャーの意中の彼女はがぜん恥ずかしがって、席に座ってうつむいたままだ。
「ふざけんなよ!」
彼女をかばうように声を荒げ、黒板消しを手にするマッチャー。
で、プリプリ怒ったマッチャーは相合い傘を必死になって消しながら、けれど「まんざらでもないだろう」と周囲に勘ぐらせる余白を絶妙にその背中ににじませこう叫ぶのだ。

「誰が書いたんだよ、もう〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

…続いて、サイコなところでこうだ。

マッチャーは『自分未来日記』なるものをつけていた。
自分未来日記…その響きだけでゴハン三杯はおかわりできそうな非常に危ないネーミングだが、とにかくつけていた。
…いや、「つけていた」は正確じゃないか。
夏休みが目前に迫ってくると、慌てて家で「まとめ書き」していた。
その表紙にはマジックペンで、『未来日記』と堂々記されており、最初のページはマッチャーの細かいプロフィールがびっしり。
住所、氏名、年齢、○年○組○番、身長、体重、血液型、好きな食べ物嫌いな食べ物、就寝時間と起床時間、家族構成、好きなピンクレディーはミーちゃんまで、ありとあらゆるマッチャー情報を網羅していた記憶がある。

つか、そもそも自分未来日記とは何ぞや?

普通、日記とは過去の出来事を書き留めるものだが、多感過ぎるマッチャーはひと味もふた味も違う。
これから訪れる夏休み中の自分の行動をあくまで予言的に書き記したのが、マッチャーが開発した自分未来日記だ。
例えば、

8月○日の夕方五時。
俺は○○公園のジャングルジムのてっぺんで、一人空を見上げているだろう。

的な、そんなロマンチック予言だ。
で、一学期終了間際に好きな女の子のいるクラスの廊下に未来日記を落としておく。
で、実際、その日のその時間にジャングルジムのてっぺんに上り、夕暮れ空を見上げつつ、藤木直人ばりの甘い酔いしれ顔で彼女を一人待つっていう…。

…不毛だ。
そしてあまりにアホだ。
てか、普通にノイローゼだ。

今から考えると、「貴重な夏休みになにやってんだ?!」と自害したいほどに思う。
大体、そんな日記を廊下に落としておいたところで、誰が拾うかなんてさっぱり分からないではないか!!?
でも、当時のマッチャーは信じて疑わなかったんだな。
マッチャーのノートを拾うのは、「あの子以外、いない」、と。
実際、「落とし物でーす」ってマッチャーに届けられたり、「おい、バカがいるぞ!」と掲示板に日記をはり出されたことなど、奇跡的に一度も無かったもの。
あ、ひょっとして、それを拾ってくれた優しい人がマッチャーを哀れんで焼却炉で焼いてくれたのかも知れないな。

えっ?
「結局、マッチャーの好きな子は公園に来なかったの?」って?

はい。
一度も来たことはありません。

えっ?
「そんなことやってて、虚しくはなかったの?」って?

いいえ。
彼女は恥ずかしがって出て来れないだけで、きっと近くの木陰で、空を見上げるマッチャーをさらに見上げているんだろうな…と思ってましたから。
ええ、そうですね、むしろいい気分でした。

と、まあね。
そんなエピソードが子供の頃から山ほどあるんですわ。
突っ込んで思い出せば思い出すほど残念な記憶がドシドシ蘇ってきて、自分で自分にドン引きでしたわ…。
そんなこんなで、大層ガッカリな思い出はまだまだ後を絶ちませんので、よっぽどお暇な方は、雑誌が発売になったらそちらで立ち読みでも座り読みでもして下さい。そのうち事務所のHPで告知もあるでしょうよ。

やー、俺ってわりと普通の子供だって、これまで思ってたのになあ…。
息子にこの切な過ぎるDNAが遺伝していないことを心より祈ります。

ヤだよ。近い将来、そんな日記、子供部屋で見つけちゃったら。

じゃ、シーユー。

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