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2007/12/27

2007年の俺、2。

今年の新たな経験としては、ドラマを撮らせてもらったことが挙げられる。

映画を監督する演劇人は結構いても、連続ドラマを一から本格的に演出する演劇人というのは珍しいのではないだろうか。

だって、めちゃめちゃ大変だもの。

とはいえ、ハリ系というこのドラマ。

企画書を見せてもらった段階で、本来ならばとても関われるスケジュールではなかったのだが、なんとなくピン!とくるものがあって、

「こいつは誰にも譲れねぇ!」

と青筋立てて大奮起。
右も左も分からないまま、勢い任せで引き受けさせていただきました。

で、ド新人監督の夏の陣が始まるわけですが、これが実にエキサイティング!

7月からプロデューサーさんや脚本家さん達と、ドラマ全体の世界観をいかがなものにするかについて打ち合わせにつぐ打ち合わせ。

それが固まり始めると、次は全12話、一話一話とっても丹念な脚本の打ち合わせったら打ち合わせ

その他、衣装や美術やロケハン、ハリ系&ワニ系人間のビジュアルイメージ、劇中かかる音楽ならびに主題歌のイメージ、タイトルロール(今回で言うとアニメのヤツね)のイメージ、針が立つ際などのCGのイメージなどなど、薄々分かっちゃいたけれど、これでもかこれでもかと次々に判断を求められる。

そりゃそうだろう。
それが監督の仕事なんだから。

やー、何も知らなくて良かったー。知ってたら余裕でくじけてたかも。

マッチャーときたらなにせ監督バージンだからして、
「次は○○の打ち合わせですね。次は○○ですか。で、次は○○ね。はい、○○については近々でっ!」
とひたすら来る球を打ち返す、そんな夏の日々でありました。

まあ、ドラマ製作に関わっている方から見れば、こんなのなんでもないのでしょうが、こちとら下ネタと飲酒をこよなく愛するやさぐれ演劇人ですから。

ペースが違いますって、ペースが。

つっても、何気に充実感たっぷりでしたけどぉ。

これまで脚本家としては二本のドラマに携わっているマッチャーですが、その関わり方は様々。

『アキハバラ@DEEP』では監督さん、プロデューサーさんと温泉宿で合宿などしながら、あーだこーだじっくりドラマ全体の方向性を探り、そして一から物語を書かせてもらい、もう一本の『下北サンデーズ』では監督さんがイメージした全話のプロット(ストーリーの大まかな流れ)がすでに出来上がっている状態で声をかけていただき、その流れに沿いながら書かせてもらい。

や、どっちがいいも悪いもないですよ。

どっちの進め方もドラマ作りの現場では、(温泉に行くかどうかは別として)比較的よくあるケースですし。

ただ、やっぱりマッチャーはいわゆる職人気質ではないのよね。
なんつーか、楽しんでなんぼ気質なのよ。

なので、個人的に性に合ってるのは前者の方で、作品の持つ可能性を自分の体に十分染み込ませた上でアレコレ自由に発想するのが好きなわけ。

ましてやハリ系では、恐れ多くも監督やらせてもらってますから。

脚本家で関わる時とは比べ物にならないほどがっつりドラマ作りに参加出来て、楽しくないわけないじゃないですか!

やー、しかしですよ。
これはよく言われてることですが、つくづくドラマって監督のものだなーって思う。

演出の仕方一つでそのドラマの雰囲気なんかガラっと変わるし、どんなに何時間かけて打ち合わせしても、どんなに面白い脚本があっても、どんなにいいキャストやスタッフが集まっても、結局、撮影という名の真剣勝負の場でいい画を撮らなきゃ水の泡なわけでしょ?

いやはや、そのプレッシャーたるや並々ならぬものがありましたよ…とでも書ければそれなりに初監督っぽい苦労話にもなるんでしょうけど、実際の撮影はとにかく時間に追われつつ1シーン1シーン真剣勝負している間にいつのまにか終わっていたって感じです。

もっとああしとけば良かった、こうしとけば良かったみたいなことは一杯ありますけどね。

それでも心優しきスタッフさん達に支えられて、なんとかやり遂げることが出来ました。
今思うと、あんなアットホームな現場ってあまりないんじゃかいかしら。

そして、ドラマ全体の世界観としましては、今回非常に特殊な設定ですから。
とってもデリケートに紡いでいかなきゃならんので、そこが一番苦労しました。

そもそもがハリネズミ人間が主人公だもの。

ハリネズミ人間、普通に人類に混ざって暮らしてますから。
で、人類もそれをスルーして朗らかに共存してますから。
で、舞台は主に下町の商店街ですから。
とかなんと言いながら、この世界ではタブーとされているハリネズミ人間と人間の女の子の甘酸っぱいラブストーリーが本筋ですから。

…なんつうか、こっちもあれですよ。

ハードル、高っ!!!

ってヤツですよ。

でもねでもね。
昨今のドラマのようにドラマティックな事件はここではほとんど起きないけれど、そもそも多感な若者にとっては“恋をする”ってだけで大事件ですからね。

この世にハリネズミ人間がいるってだけですでに大嘘を一つついているわけだから、過剰にドラマティックな要素を物語に入れる必要はあまりないんじゃないかと思ったんスね。
臆病で優柔不断なハリ系の主人公が恋に落ちたことで生じたナイーブな気持ちを、あせらずゆっくりのほほ〜んと描いていけば、この設定ならではの独特な雰囲気のドラマになるんじゃないかと。
それプラス、絵本の中の物語のようなファンタジックな見せ方も加えて、マッチャーなりのハリ系が誕生いたしました。

結果、土曜の深夜っていうより、明らかに日曜の午後的な番組になっちゃいましたが、ま、それもヨシということで。

出演者が大きな不祥事さえ起こさなければ、プロデューサーが痴漢や薬物所持で逮捕さえされなければ、DVDの発売も来春決定いたしましたので、まだ御覧になっていない方やはなから御覧になれない地方の方は、どうぞ商品をお買い求めの上、ぜひ日曜の午後に見てやって下さいませ。

結局、アレね。
ドラマも演劇もないね。

有意義な現場っていうのは、魅力的なキャストを始め、各分野、どれだけ有能なクリエーター達が集まって、どれだけ真摯にその力を一つの作品に結集させるかってことで決まるから。

その点、初監督でありながらマッチャーは本当に幸せな現場に恵まれたなあと思います。

感謝の心を改めて知った…そんなことも与えてくれた現場でした。

いつかまたこんな素敵な人達とお仕事出来たらなーと柄にもなく素直に思うのですが、こればっかりは自分一人じゃどうにも決められないので、一先ずここらで本日のバカみたいに長いブログの幕を下ろしたいと思います。

じゃ、シーユー。

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